学資保険とは?メリット・デメリットや必要性をわかりやすく解説
学資保険は、子どもの教育資金づくりのために活用できる保険です。保険料の払込期間中に契約者に万一のことがあった場合、その後の保険料の支払いが免除されるものもあります。
ここでは、学資保険に加入するメリット・デメリットと、学資保険が必要な人、学資保険の選び方について解説します。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
学資保険とは?
学資保険は生命保険の一種で、子どもの教育資金を準備するための貯蓄性がある保険です。子どもの教育資金の一部を計画的に準備することに適しており、毎月一定額の保険料を払い込むことで、子どもの進学時などに学資金を受け取ることができます。さらに、保険期間満了時には、満期保険金としてまとまった金額を受け取ることが可能です。
例えば、15歳払込満了、18歳から学資金を受け取り22歳の満期で満期保険金を受け取る場合のイメージは以下のとおりです。
■15歳払込満了の場合の契約例
学資金支払開始年齢を17歳から開始できたり、払込みを5年間21歳で満期にしたりと、ある程度カスタマイズ可能な商品が多いのが特徴です。
また、学資保険では、保険料の負担者である契約者が死亡した場合、それ以降の保険料の払込みを免除する規定が設けられている商品もあります。このような商品の場合、契約者の死亡以降は保険料を負担する必要はなく、契約で定められた時期に学資金や満期保険金を受け取れることになります。保険料払込免除の規定は主契約に含まれていたり、特約として付加したりする場合があり、保険会社や商品によって異なります。
必要な教育資金の額
では、習い事などの学校外活動費を含めた教育費は、どれくらい必要になるのでしょうか。
幼稚園から大学まで、それぞれの在学中にかかる教育費をまとめました。すべて国公立の場合と、私立の場合では1,000万円以上の違いがあります。特に、教育費の負担は大学進学後に重くなる傾向があるため、計画的に教育資金を準備する必要があるといえるでしょう。
■幼稚園から大学までの教育費
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幼稚園 |
小学校 |
中学校 |
高等学校 |
大学 |
合計 |
|
公立 |
約47万円 |
約211万円 |
約162万円 |
約154万円 |
約481万円 |
約1,055万円 |
---|---|---|---|---|---|---|
私立 |
約92万円 |
約1,000万円 |
約430万円 |
約316万円 |
約690万円 |
約2,528万円 |
約823万円 |
約2,661万円 |
※幼稚園から高等学校までは文部科学省「令和3年度子供の学習費調査の結果について」、大学は日本政策金融公庫「令和3年度『教育費負担の実態調査結果』」より第一生命が作成
※幼稚園から高校までの金額は、各年度の各学年の平均額の単純合計です。
※大学の金額は、入学費用も含んだ年間平均額の累計です。
※金額は千円単位を四捨五入しています。
※2019年10月からの「幼児教育・保育の無償化」により幼稚園、保育所、認定こども園などの利用料が一部、または全額無償化されています。
学資保険はいくら必要?
学資保険の目的である教育資金がいくら必要かは、それぞれの家庭の状況や目指す学校によって異なります。例えば「子どもが大学進学前までに、大学4年間でかかる教育費を積み立てる」ことを目標にして考えた場合、大学4年間で必要な教育費の目安は、国公立大学なら約481万円、私立大学文系約690万円、私立大学理系約823万円です。
全額を学資保険の保険金でまかなおうとすると保険料が高くなるため、家計とのバランスを考慮して保険料を決めます。目標額から不足する分は、貯蓄や投資信託などほかの方法を検討してすると良いでしょう。
なお、学資保険の保険料は、学資金や満期保険金、保険料払込期間の設定、返還率(返戻率)、保障内容などによって変動します。なお返還率とは、払い込んだ保険料総額に対して、受け取れる学資金などの総額の割合を示したものです。返還率が100%を超えていれば、払い込んだ保険料総額よりも受け取る学資金などの総額のほうが多いことを表します。
学資保険の学資金・満期保険金の額については、以下の記事をご参照ください。
学資保険に加入できる時期は?
学資保険に加入できる時期は、0歳から子どもが6歳になる頃までとなっている商品が一般的です。中には第一生命の学資保険のように、出産予定日の140日前から10歳まで加入できる商品もあります。学資保険に加入できる時期とメリットを見てみましょう。
0歳から加入できる
学資保険は、0歳から加入できるものがあります。
0歳から学資保険に加入するメリットは、まず保険料が抑えられることです。加入する年齢が若いほど、保険料は低めに抑えることができます。また、契約者に万一のことがあっても、子どもの教育資金が確保される点もメリットですので、0歳から安心感を得られます。
妊娠中から加入できる学資保険もある
学資保険の中には、妊娠中から加入できるものもあります。
例えば第一生命の学資保険は出産予定日の140日前から加入が可能です。出産後は育児などで忙しくなるため、出産前の時間を有効に活用することで、じっくりと教育プランを立てることができます。
その際に、学資保険の内容を比較検討して加入しましょう。子どもの名前が決まっていなくても加入でき、産後に名前が決まったら保険会社に連絡することになります。
10歳まで加入できる学資保険もある
学資保険は加入できる年齢の範囲が商品によって異なりますが、多くは6歳までです。しかし、中には10歳まで加入できる学資保険もあります。
10歳まで加入できる学資保険であれば、すでに子どもが小学校に入学していたり、7歳を超えていたりしていても、学資保険の加入を諦める必要はありません。中学以降の進学のタイミングで、契約内容どおりの学資金が受け取れるため、小学校入学後から教育資金を準備したい人におすすめです。
学資保険に加入するベストなタイミングは?
学資保険に加入するのであれば、「できるだけ早く加入すること」が大切です。
保険の加入期間が長ければ長いほど、月々の保険料を抑えることができ、一般的には、3歳で加入するよりも0歳で加入したほうが、月々の保険料は低くなります。
学資保険を検討しているのであれば、できる限り子どもが小さいうちに加入するのがおすすめです。
学資保険に加入するメリット
子どもの教育資金を準備する方法は、学資保険だけではありません。教育資金の準備方法にはさまざまなものがありますが、その中でも学資保険を選ぶメリットにはどのようなものがあるのか、見ていきましょう。
計画的に教育資金を準備できる
学資保険のメリットのひとつとして、計画的に教育資金を準備できるということが挙げられます。ただ毎月一定額を貯金していくだけでは、何か急な出費があった場合などにせっかくの貯金を使ってしまうことがあるかもしれません。
しかし、学資保険の場合、所定の解約手続きが必要になるなど、貯金のようにすぐお金を引き出せるわけではないことから一定の歯止めとなることが期待できます。
払い込んだ保険料総額以上の金額を受け取れる場合もある
商品によっては、保険料を満期まで払い込んだ場合に払い込んだ保険料の総額よりも多い金額を受け取れるよう設計されているものもあり、この場合には学資保険を教育資金準備の手段として選択するメリットになるといえるでしょう。ただし、どんな学資保険商品でも必ず払い込んだ保険料総額よりも多い金額が受け取れるわけではありません。例えば、特約で医療保障などがセットになっている商品では、受け取れる学資金や満期保険金の総額が払い込んだ保険料総額を下回ることもあります。
契約者に万一のことがあれば保険料の支払いが免除される
学資保険の契約者が亡くなるなど、万一のことがあった場合、それ以降の保険料の支払いが免除される商品もあります。その場合でも保障の内容は変わらないため、保険料を満期まで払い込んだ場合と同じように、学資金や満期保険金を受け取ることができます。
学資金・満期保険金の受取時期などは状況に合わせて設定可能
学資保険に加入する際、保険料や払込期間、学資金・満期保険金の受取時期は、状況に合わせて設定することができます。保険料を高く設定すれば、将来受け取れる金額は増えますが、月々の保険料の負担は大きくなるため、家計の状況などを踏まえて設定するようにしましょう。
なお、学資保険の保険料の払込期間は、一括払、全期払のほか、5年間、10年間といった短期払から選ぶことができます。
※保険会社によって異なりますのでくわしくはお問い合わせください。
保険料が生命保険料控除の対象となる
学資保険のメリットとして、保険料が生命保険料控除の対象となることも挙げられます。年末調整や確定申告で生命保険料控除の手続きをすることで、所得税と住民税の負担が軽減されます。
※税務の取り扱いについては、2023年11月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。
学資保険のデメリット
学資保険に加入するにあたって、デメリットと考えられる点もあります。次に上げる点を踏まえて、加入を検討しましょう。
早期解約すると解約返還金が減る可能性がある
学資保険を満期前に早期解約した場合、受け取れる解約返還金が払込保険料の総額よりも少なくなってしまうことがほとんどです。解約時期によっては解約返還金を受け取れないこともあります。
教育資金の準備を急ごうとして契約内容を十分に検討できないまま加入してしまい、後から月々の保険料を負担に感じてしまうこともあるようです。この場合は早期解約ではなく、保険料の負担を減らせないか、保険会社に相談してみましょう。
インフレに弱い傾向がある
学資保険は、学資金や満期保険金の返還率が契約時に決められています。そのためインフレになった場合、受け取れる学資金や満期保険金の価値が目減りしてしまう可能性があります。
インフレ(インフレーション)とは商品の値段が上昇傾向になることです。例えば、今100円で購入できるものが3年後に150円になったとします。この現象がインフレです。学資保険の学資金などは、契約時に決められた金額を受け取る仕組みですが、受け取る時期の多くは10年後や20年後といった先の未来であるため、その頃の物価がどの程度になっているかはわかりません。もしも、インフレが進んでいた場合には、受け取る学資金や満期保険金の価値が下がっている可能性があります。
学資保険に加入したほうがいい人とは?
学資保険にはメリットとデメリットがあり、自分の状況に照らし合わせて加入を考える必要があります。続いては、学資保険の加入にはどのような人が向いているのか、ご紹介しましょう。
計画的に貯蓄することが苦手な人
計画的に貯蓄することが苦手な人は、学資保険に加入して教育資金を準備するといいでしょう。
子どもの教育にかかる金額は大きいため、少しずつでも計画的に貯めていく必要があります。しかし、貯めたお金を使ってしまったり、貯めることができなかったりといったこともあるかもしれません。
そのような人は、学資保険に加入すれば、払い込んだ保険料を簡単に引き出すことはできなくなるため、計画的に教育資金を準備することができます。
万一に備えて保障をつけておきたい人
学資保険の保険料払込期間中に契約者が亡くなるなど、万一のことがあった場合、以降の保険料の支払いが免除される学資保険の商品もあります。ただ教育資金を準備するだけでなく、万一にも備えた保障が必要という人は、以降の保険料の支払いが免除される商品を選択するといいでしょう。
学資保険が必要ではない人とは?
学資保険は、人によっては必要でない場合もあります。どのような人が学資保険を必要としないのか、具体的に見てみましょう。
教育資金が準備できている人
すでに教育資金の準備ができているのであれば、無理に学資保険に加入する必要はありません。祖父母から教育資金を贈与してもらうなど、別の手段で教育資金が準備できれば、学資保険に加入する必要性は低いといえるでしょう。
積極的に資産運用したい人
学資保険の返還率(返戻率)以上に資産運用したいという人も、学資保険の必要性は低いといえます。
また、早期解約すると受け取れる解約返還金が払込保険料の総額よりも少なくなってしまうため、一度加入した後に解約してほかの資産運用方法に乗り換えるのは現実的でないでしょう。資産を積極的に運用したいのであれば、学資保険は不向きといえるかもしれません。
学資保険はどう選んだらいい?
学資保険の商品を選ぶにあたっては、自分の状況に合っている商品があるかどうかを検討することが大切です。その際に、ポイントとなる点についてご紹介します。
学資保険に加入する目的を明確にする
学資保険選びで大切なのは、学資保険に加入する目的を明確にすることです。学資保険は、教育資金を準備する方法のひとつですが、中には契約者の死亡保障や子どもの医療保障を手厚くした商品もあります。
保障を手厚くすれば返還率は低くなり、中には返還率が100%以下になるものもあるため、学資金・満期保険金と保障のどちらを重視するのかを明確にして選ぶようにしましょう。
返還率を参考にする
返還率は、学資保険選びにおける指標のひとつといえます。
返還率が100%であれば、払い込んだ保険料の総額と受け取る学資金・満期保険金の総額は同じです。100%を超えていれば受け取る学資金・満期保険金の総額のほうが多く、反対に100%未満であれば払い込んだ保険料の総額のほうが多くなります。
学資保険の選び方については、以下の記事をご参照ください。
学資保険は返還率(返戻率)で選ぶ?高める方法や選び方のポイント
保険料の払込期間や学資金・満期保険金の受け取りのタイミングを検討する
保険料の払込期間や学資金・満期保険金の受け取りのタイミングも、学資保険を選ぶ際のポイントになります。学資金や満期保険金は、21歳または22歳までに受け取るケースが多く、主に入学金や授業料として使われます。学資金・満期保険金の受け取りのタイミングはいつが適切かや、家計に無理のない払込期間や保険料がいくらかなどを考えた上で、具体的なプランを検討するようにしましょう。
学資保険に加入して計画的に教育資金を準備しよう
学資保険は、計画的に教育資金を準備することができる保険です。
教育資金を準備する方法は学資保険以外にもさまざまありますが、学資保険には契約者に万一のことがあった場合、保険料の払込みが免除になるといった保障機能を備えた商品もあります。学資保険の特徴を知った上で、自分に必要な商品を選んでみてください。
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よくある質問
Q. 学資保険に加入できる時期は?
学資保険に加入できる時期は、0歳から子どもが6歳になる頃までとなっている商品が一般的です。学資保険は子どもが出生していないと加入できないわけではなく、出産予定日の140日前から加入できる商品や、10歳まで加入できるものもあります。
学資保険に加入できる時期については、以下の項目をご参照ください。
Q. 学資保険に加入したほうがいい人とはどんな人?
学資保険の加入がおすすめなのは、計画的に貯蓄することが苦手な人です。学資保険は、払い込んだ保険料を簡単に引き出すことができないため、計画的に教育資金を準備することができます。
また、保険料払込期間中に契約者が亡くなるなど、万一のことがあった場合、以降の保険料の支払いが免除される学資保険の商品もあるため、万一に備えて保障をつけておきたい人も学資保険がおすすめといえるでしょう。
学資保険に加入したほうがいい人については、以下の項目をご参照ください。
Q. 学資保険の選び方のポイントとは?
学資保険の商品を選ぶ際のポイントとして大切なのは、学資保険に入る目的を明確にすること、返還率を検討すること、保険料の払込期間や学資金・満期保険金の受け取りのタイミングを検討することが挙げられます。自分の状況に合っている商品かどうかを、しっかり検討することが大切です。
学資保険の選び方のポイントについては、以下の項目をご参照ください。
井戸美枝
CFP(R)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)などがある。
※この記事は、ほけんの第一歩編集部が上記監修者のもと、制作したものです。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※この資料は2024年2月時点の商品の概要を説明したものであり、契約にかかるすべての事項を記載したものではありません。検討にあたっては「保障設計書(契約概要)」など所定の資料を必ずお読みください。また、契約の際には「重要事項説明書(注意喚起情報)」「ご契約のしおり」「約款」を必ずお読みください。
(登)C23P0331(2024.1.16)
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