一時払終身保険とは?メリット・デメリットや解約返還金について解説
終身保険の保険料を支払う方法には、月払や年払のほか、契約時に保険料を一括で支払う「一時払」があります。では、一時払を選択すると、どのようなメリットがあるのでしょうか。
この記事では、一時払終身保険の特徴とメリット・デメリットのほか、一時払と全期前納払との違いなどについて解説します。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
一時払終身保険とは
一時払終身保険とは、契約時に保険料をまとめて1回で支払う終身保険です。契約時にはまとまった金額を用意する必要がありますが、保険金額が同じ場合、払込保険料の総額は月払や年払に比べて安くなります。また、解約した場合の解約返還金(解約返戻金)が払込保険料の総額を上回るまでの期間が、月払や年払に比べて短いのが特徴です。
なお、一時払終身保険には、円建てのほか、保険料の払込みや保険金の受取りを外貨で行う「外貨建て」の商品もあります。
■一時払終身保険のイメージ
※上記仕組み図は、一般的な商品性のイメージを図示したものであり、商品により内容は異なります。
終身保険については、以下の記事をご参照ください。
終身保険とは?メリット・デメリットと必要性をわかりやすく解説
外貨建ての保険については、以下の記事をご参照ください。
一時払終身保険のメリット
まずは、一時払終身保険のメリットについて見ていきましょう。一時払終身保険には、以下のようなメリットがあります。
保険料を定期的に支払う必要がない
一時払終身保険のメリットとして、保険料を定期的に支払う必要がない点が挙げられます。契約時に保険料の総額をまとめて払うため、その後の保険料の支払いがありません。毎月や毎年など、定期的に保険料を準備しておく必要がないため、長期的に保険料を支払う心配がなくなります。
月払や年払よりも払込保険料の総額が抑えめになる
一時払終身保険のメリットとして、月払や年払よりも払込保険料の総額が抑えめになることが挙げられます。一時払終身保険では、月払や年払なら長期間かけて支払う保険料をまとめて1回で支払うことで、保険会社が保険料を長期間にわたって運用できるため、月払や年払よりも払込保険料の総額を少なく抑えることが可能です。一度に支払う金額は大きいものの、払込保険料の総額を比べるとメリットがあるといえます。
解約返還金が払込保険料の総額を上回るまでの期間が短い
一時払終身保険には、払い込んだ保険料よりも解約返還金が上回るまでの期間が、月払や年払に比べて短いというメリットがあります。これは、一括で大きな金額を払い込むため、保険会社がその資金を長期的に運用できるからです。長期間運用できることで、運用収益の効率が良くなり、月払や年払の終身保険よりも早いタイミングで解約返還金が払込保険料の総額を上回ることになります。
死亡保険金によりまとまったお金をすぐに準備できる
死亡保険金が受取れる保険と同様に、一時払終身保険には、被保険者が亡くなった場合にまとまったお金をすぐに準備できるというメリットもあります。
被保険者が死亡した際、金融機関がそのことを知った時点で、口座が凍結されます。その際、相続預貯金の払戻し制度によって、預貯金の一部(上限150万円)は受け取ることが可能です。しかし、制度を利用するためには、本人確認書類のほか相続人全員の戸籍謄本などが必要になるため、準備に手間と時間がかかります。
一方、一時払終身保険による死亡保険金は保険会社から速やかに支払われるため、必要なお金を準備することができます。
死亡保険金が受取れるため、相続に活用できる
死亡保険金が受取れる保険と同様に、一時払終身保険は、相続対策になるという点もメリットです。死亡保険金は相続税の課税対象になりますが、「500万円×法定相続人の数」までの金額は非課税になります。そのため、同じ額を現金で残すよりも、税負担を軽減することができるのです。
※被保険者と契約者(保険料の負担者)が同一人で、死亡保険金受取人が相続人の場合に限ります。
また、現金のまま財産を残した場合、自分の希望どおりの相続ができない可能性があります。しかし、死亡保険金は受取人の固有財産となるため、遺産分割協議の対象にはなりません。相続させたい人を一時払終身保険で受取人に指定すれば、希望する相手に現金を残すことができます。
告知なしで加入できる保険商品もある
一時払終身保険には、告知なしで加入できる保険商品がある点もメリットです。一般的に、生命保険に加入する際は保険会社に持病などの健康状態を告知する必要があります。しかし、一時払終身保険の中には入院中など一部の例外を除き、健康状態の告知が不要、または簡易的な告知で加入可能な保険商品もあります。
一時払終身保険のデメリット
一時払終身保険にはメリットがある一方で、デメリットもあります。続いては、一時払終身保険のデメリットについて解説します。
まとまった資金が必要
一時払終身保険のデメリットには、加入時にまとまった資金が必要になることが挙げられます。保険料は、死亡保険金などの保障内容によって異なりますが、一生涯の保障を得るための保険料を1回でまとめて払うため、一般的には数百万円というまとまった金額が必要です。
生命保険料控除が受けられるのは1回のみ
一時払終身保険のデメリットのひとつとして、生命保険料控除が受けられるのは1回のみということが挙げられます。
生命保険料控除とは、その年に支払った生命保険料に応じて一定の金額が所得から差し引かれ、所得税や住民税の負担が軽減される制度です。月払や年払であれば、保険料の払込期間中は生命保険料控除が受けられます。しかし、一時払終身保険では、保険料の払込みが1回のため、生命保険料控除が適用されるのも1回のみとなります。
契約後すぐに解約すると払込保険料よりも解約返還金が少なくなる
一時払終身保険は、契約後すぐに解約すると、払込保険料よりも解約返還金の額が少なくなります。まとまった金額を一度に支払った結果、手持ちの資金が足りなくなって解約するということがないように注意しましょう。
また、外貨建ての場合は、解約返還金だけでなく死亡保険金についても、為替相場によっては払込保険料の総額よりも受け取る金額が少なくなるリスクがあります。
保険料の払込期間中に被保険者が死亡した場合、残りの払込保険料は返金されない
保険料の払込期間中に被保険者が死亡した場合、残りの払込期間分の払込保険料は返金されない点もデメリットです。
月払や年払の保険であれば被保険者が死亡した以降に保険料を支払う必要はありません。しかし一時払終身保険では、例えば払込期間が10年で100万円の保険料を一括で払い込んだ後、5年で死亡した場合、残り5年分の払込保険料が返金されるということはありません。
一時払と全期前納払の違い
保険料の支払い方法には、一時払と同様に保険料をまとめて支払える「全期前納払」もあります。全期前納払とは、すべての保険料をまとめて保険会社に預け、そこから月や年ごとに設定された払込み時に、預けたお金の中から保険料が充当されるという方法です。
保険料をまとめて保険会社に支払うということは同じでも、一時払の保険料支払い回数が1回だけであるのに対して、全期前納払ではあくまで預けているだけで、保険料は毎回の期日ごとに充てられています。そのため、一時払では1回しか受けられない生命保険料控除も、全期前納払では保険料払込期間中は生命保険料控除を毎年受けられます。
また、全期前納払の終身保険を途中で解約した場合は、解約返還金とは別に、まだ払い込んでいない保険料分が未経過保険料として返金されます。
■一時払と全期前納払の違い
自分に合った支払い方法を検討しよう
保険料を一括で支払う一時払終身保険は、払込保険料の総額を抑えられ、相続対策にもなるメリットがあります。なお、保険料をまとめて支払う方法には、一時払のほかにも全期前納払があるため、その違いを理解しておくといいでしょう。
保険料の支払い方法について「どれが自分に合っているかわからない」という場合は、保険会社やFP(ファイナンシャルプランナー)などに相談してみることをおすすめします。
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よくある質問
一時払終身保険とは何ですか?
一時払終身保険とは、契約時に保険料をまとめて1回で支払う終身保険です。契約時にはまとまった金額を用意する必要がありますが、同じ保険金額・保険会社の終身保険の場合、払込保険料の総額は月払や年払に比べて低めになります。また、解約した場合の解約返還金(解約返戻金)が払込保険料の総額を上回るまでの期間が、月払や年払に比べて短いのが特徴です。
一時払終身保険のメリットは何ですか?
一時払終身保険のメリットには、保険料を定期的に支払う必要がないこと、月払や年払よりも払込保険料の総額が抑えめになること、解約返還金が払込保険料の総額を上回るまでの期間が短いことが挙げられます。このほか、被保険者が亡くなったらまとまったお金をすぐに準備できること、相続に活用できること、そして、告知なしで加入できる保険商品もある点がメリットです。
一時払終身保険のデメリットは何ですか?
一時払終身保険のデメリットには、加入時にまとまった金額の保険料が必要であること、生命保険料控除が受けられるのは1回のみであることなどがあります。このほか、契約後すぐに解約すると払込保険料よりも解約返還金が少なくなることや、早期に被保険者が死亡した場合、残りの払込保険料は返金されないこともデメリットです。
森島静香
FPサテライト株式会社所属。京都出身、大阪在住。人材紹介会社勤務。キャリアカウンセラーとして顧客の転職活動を支援中。中立の立場で顧客の相談に乗る中で、お金に関するより専門的な知識を身につけたいと考え、FP資格を取得。プライベートでも2児の母として、育児を経験しており、顧客目線でわかりやすい情報を届けるFPを心掛けている。
所有資格:2級ファイナンシャル・プランニング技能士、TOEIC 925点
※この記事はほけんの第一歩編集部が上記監修者のもと、制作したものです。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※税務の取り扱いについては、2024年7月時点の法令等にもとづいたものであり、将来的に変更されることもあります。変更された場合には、変更後の取り扱いが適用されますのでご注意ください。詳細については、税理士や所轄の税務署等にご確認ください。
(登)C24N0089(2024.8.15)
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