掛け捨て型生命保険とは?貯蓄型との違いとメリット・デメリット
不測の事態に備えるため、有効な手段のひとつといえる生命保険。すべてのリスクに備えられるという生命保険はないため、どんな生命保険が自分に合っているのかを考えて契約することが大切です。
しかし、生命保険には掛け捨て型と貯蓄型があり、どちらがいいのか迷ってしまうことも多いと思います。ここでは、掛け捨て型保険と貯蓄型保険の違いやそれぞれの特徴のほか、選び方について解説しましょう。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
※貯蓄型の生命保険は、解約返還金や満期保険金が払込保険料の累計額を下回る場合があります。
掛け捨て型保険と貯蓄型保険の特徴
生命保険は、満期のときに保険金を受け取れるかどうかで、掛け捨て型保険と貯蓄型保険に分けることができます。まずは、それぞれの特徴とメリット・デメリットについて紹介します。
掛け捨て型保険の特徴
掛け捨て型保険とは、解約返還金(解約返戻金)などがない貯蓄性のない保険のことです。思わぬ病気やケガ、予想できないリスクなどを不安に思っている人たちでお金(保険料)を出し合い、その誰かに不測の事態が起こったときに保障が受けられるという、保険の原型ともいえます。一般的に、契約期間が決まっていることが多く、代表的な掛け捨て型保険には、定期保険や収入保障保険などがあります。
掛け捨て型保険のメリット・デメリット
掛け捨て型保険は、月々の保険料が貯蓄型保険に比べて安めに設定されていることがメリットです。保険料を抑えて手厚い保障を受けたい人に向いています。
ただし、契約期間中に不測の事態が起こった際には保障が受けられますが、何も起こらなかった場合は、原則として支払った保険料は返ってこないというデメリットもあります。
貯蓄型保険の特徴
貯蓄型保険とは、不測の事態に備える機能に加えて、貯蓄性を備えたものです。代表的な貯蓄型保険には、終身保険や養老保険、学資保険などがあります。
終身保険は一生涯にわたって保障が続く保険のことです。被保険者(保険がかけられている人)の死亡時に死亡保険金が支払われるため、遺族の生活を支えるのに役立ちます。保険料の払込期間が60歳までなどと設定されている場合、それ以降の保険料の払込みはありません。解約返還金は加入期間が長いほど増加し、一定の年数を超えると支払った金額を上回る場合が多くなっています。なお、解約返還金として受け取れる金額は、払い込んだ保険料と返還率によって変わります。
貯蓄型保険のメリット・デメリット
貯蓄型保険は契約期間中、不測の事態が起こった場合に保障を受けられるのはもちろん、解約した場合には、それまでの払込金額に応じて、解約返還金を受け取ることができます。保障期間が決まっている養老保険の場合は、期間満了後に満期保険金が受け取れます。
貯蓄型保険の月々の保険料は、一般的に掛け捨て型保険と比較すると高めです。また、早期に解約すると、受取金額が払い込んだ保険料の累計額を下回ることが多く、受取金額がない場合もあります。
掛け捨て型保険と貯蓄型保険、どちらを選べばいい?
掛け捨て型保険と貯蓄型保険は、どちらもニーズに応えて生み出されてきた商品であり、どちらが優れているというものではありません。
例えば、掛け捨て型保険は、支払った保険料が返ってこないため、契約期間中に何もなければ損をすると考える人もいます。しかし、掛け捨て型保険は貯蓄型保険に比べ、保険料が安く設定されているため、金銭的な負担を抑えながら手厚い保障を得たい人には適した保険です。目的によって加入する保険を選ぶことが大切といえるでしょう。
掛け捨て型保険と貯蓄型保険は、それぞれどのような状況の人に向いているのかをご紹介します。
掛け捨て型保険に適している人
掛け捨て型保険に適しているのは、安い保険料で貯蓄だけでは対応しきれないリスクに備えたいと考えている人です。不測の事態に備えて貯蓄しておいたとしても、死亡、病気、事故など、貯蓄だけでは対応しきれない場合もあります。
例えば、子どもがまだ小さいうちに親が亡くなってしまった場合、貯蓄だけでは残された家族の生活費や教育費をまかなうのは困難です。子どもが大きくなるまでのあいだの死亡リスクに備えて、掛け捨て型の死亡保険に加入しておけば、保険料を抑えながら大きなリスクに備えることができます。
また、掛け捨て型保険は貯蓄型保険に比べて保険料が安いため、余剰資金を貯金やほかの用途に使うことも可能です。
貯蓄型保険に適している人
貯蓄型保険に適しているのは、リスクに備えつつ、ライフイベントの資金準備もしたいと考えている人です。
例えば、子どもの進学などのライフイベントは、時間が経てば必ず訪れるもので、その時期になるとまとまった金額が必要になります。学資保険や個人年金保険といった貯蓄型保険に加入することで、そのようなライフイベントでの支出に備えることができます。
貯蓄型保険は、掛け捨て型保険に比べ保険料は高いものの、貯蓄性があることが特徴。保険料を支払うことで、将来のための資金形成も行うことができるでしょう。
■掛け捨て型保険と貯蓄型保険の違い
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掛け捨て型保険 |
貯蓄型保険 |
|
契約期間 |
定期 |
終身または定期 |
契約期間中に不測の事態が起きた場合 |
保障が受けられる |
保障が受けられる |
期間途中で解約した場合 |
解約返還金は支払われない |
払込金額に応じて解約返還金が支払われる |
満期になった場合 |
満期保険金は受け取れない |
満期保険金が受け取れる。終身保険や年金は満期保険金はない(解約返還金や年金が受け取れる場合がある)。 |
保険料 |
安めに設定されている |
高めに設定されている |
代表的な保険 |
定期保険、医療保険、がん保険 |
終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険 |
適している人 |
安めの保険料で手厚い保障を受けたい人 |
リスクに備えつつライフイベントに向けて貯蓄をしたい人や、一生続く保障を得たい人 |
掛け捨て型保険とは異なる貯蓄型保険の注意点
貯蓄型保険には、掛け捨て型保険にはない注意点があります。貯蓄型保険は、解約のタイミングによって解約返還金の額が変動し、早期に解約すると、受取金額が払い込んだ保険料の累計額を下回ることが多くなります。解約返還金は払い込んだ保険料の総額と契約内容によって決まりますので、よく確認することが大切です。
このほか、契約者貸付制度がある貯蓄型保険では、貸付金額とその利息の合計額が解約返還金を上回ってしまった場合、一定期間で返済ができないと、保険が失効する可能性がある点にも注意しましょう。契約者貸付制度とは、その保険の解約返還金の70~90%程度を上限(会社により異なります)として、保険会社から貸付が受けられる制度のことです。一時的に資金が必要な場合に便利な制度ですが、よく内容を確認してから利用してください。
貯蓄型保険については、以下の記事をご参照ください。
ハイブリッド型の保険とは?
保険の中には、掛け捨て型保険と貯蓄型保険の特徴を組み合わせた、ハイブリッド型の保険もあります。
例えば、貯蓄型保険である学資保険に子どもの医療保険を付加した保険がそのひとつ。期間満了時に満期保険金、解約時には解約返還金を受け取ることができ、さらに、契約期間中に子どもがケガや病気により入院した場合などにも給付金が支払われます。
ほかにも、貯蓄性のある年金保険と医療特約がセットになった保険があります。こちらも、払込期間満了時以降の年金か解約時の解約返還金が受け取れ、契約期間中にケガや病気により入院した場合などは給付金が支払われるのが特徴です。
保険のタイプは目的に合わせて選ぼう
掛け捨て型保険は、保険料を抑えながら手厚い保障を受けられ、貯蓄型保険はリスクに備えつつ、ライフイベントに向けての資金が準備できるという特徴があり、それぞれ役割が違います。
どちらに加入したほうがいいのかは、契約者が保険に加入する目的によって変わることを理解しておいてください。自分が必要な保障は何かを考えたうえで、自分に合った保険を選びましょう。
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井戸美枝
CFP(R)、社会保険労務士。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに数々の雑誌や新聞に連載を持つ。近著に『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)などがある。
※この記事は、ほけんの第一歩編集部が上記監修者のもと、制作したものです。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
(登)C22N0241(2023.1.6)
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