既往歴とは?既往症や持病との違い、病歴があっても入れる保険を解説


既往歴とは、過去にかかった病気やケガの履歴を指し、生命保険加入の際に告知が必要となる重要な情報です。しかし、告知する際に「既往症」や「持病」との違いが分からず、混乱することもあるかもしれません。
ここでは、既往歴について、既往症や持病との違い、既往歴があっても入れる保険などを解説します。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
既往歴とは?
既往歴とは、過去にかかった病気やケガの履歴、つまり病歴のことです。
既往歴には、入院や手術を伴った病気や、継続的に通院していた病気が含まれます。病気だけでなく、ケガによる治療歴やアレルギー、薬の副作用に関する履歴なども対象です。
なお、風邪や腹痛といった一時的な症状の病気も、過去にかかった病気であるため、厳密には既往歴に含まれます。
既往歴は保険加入時に告知する義務がある
保険に加入する際には、既往歴を含め、保険会社に尋ねられたことについて告知することが義務付けられています。
これは「告知義務」といい、既往歴は保険会社が被保険者のリスクを評価するための重要な情報となります。既往歴などの必要な情報の告知を怠った場合、契約が解除されたり、保険金が支払われなかったりするケースがあるので注意が必要です。
また、既往歴を保険会社の担当者に口頭で伝えたとしても、告知したことにはなりません。
保険加入時の場合、一般的に「告知書」を用いて既往歴や現在の健康状態を告知します。
具体的には、以下のように、「過去にどのような病気にかかったか」「治療や通院の有無」「手術の履歴」などの質問に対して、告知する必要があります。
■既往歴のよくある質問事項と回答例
質問事項 |
回答例 |
過去5年以内に、病気やケガで継続して7日以上の入院をしたことがありますか? |
2年前に小腸炎で入院 入院期間:20XX年◯月◯日~◯日 |
過去5年以内に、病気やケガで手術を受けたことがありますか? |
5年前に虫垂炎で手術を受けた |
現在定期的に服薬している薬はありますか? |
喘息のため、通院中 |
既往歴と「既往症」「持病」との違い
既往歴と「既往症」「持病」は、似ているようで異なる用語です。それぞれの違いを整理して理解しておきましょう。
■既往歴・既往症・持病の違い
名称 |
内容 |
告知義務 |
既往歴 |
過去にかかった病気やケガの履歴、つまり病歴のこと |
ある |
既往症 |
過去にかかったことがあるが今は完治した病気のこと |
ある |
持病 |
現在も治療中で完治していない病気のこと |
ある |
既往症
既往症とは、過去にかかったことがあるが今は完治した病気のことです。
例えば、手術後に治癒した病気や、一時的に治療を必要とした病気が該当します。
なお、既往歴もしくは既往症について尋ねられた場合、保険会社が確認したいことは「過去にかかったことがある病気のこと」です。そのため、答える内容はどちらも同じで問題ありません。
持病
持病とは、現在も治療中で完治していない病気のことです。
例えば、喘息や糖尿病、高血圧症のように、継続的な治療や管理が必要な病気が該当します。持病についても、保険加入時に告知する必要があります。
既往歴と同様に持病があるかどうかで加入できる保険に違いはありますが、持病があるからといって保険に加入できないわけではありません。
既往歴があっても保険に加入できる場合がある
既往歴があっても、保険に加入できる場合があります。
重要なのは、告知義務を正しく果たすことです。保険会社は保険の加入を検討している人の既往歴を把握し、適切にリスクを評価します。
そして、既往歴や持病がある人には、告知内容によって一般的な医療保険ではなく、特定の条件下で契約が可能なタイプの保険を提案されることがあります。
例えば、既往歴がある人でも、一般的な医療保険に条件をつけて契約(特別条件付契約)をしたり、「限定告知型/引受基準緩和型保険」「無選択型保険」といった保険を契約したりすることにより、必要な保障を得ることが可能です。
持病があっても入りやすい保険については、以下の記事をご参照ください。
既往歴があっても入りやすい保険のタイプ
既往歴がある人でも加入できる保険には、いくつかのタイプがあります。既往歴があっても入りやすい保険のタイプについて解説します。
特別条件付契約による医療保険
特別条件付契約とは、一般的な保険に、特定の条件や制限を設けて契約をすることです。条件をつけることで、既往歴があっても、医療保険に入りやすくなります。特別条件付で契約できる保険には、医療保険のほか、がん保険や養老保険などがあります。
特別条件付契約の主な条件や内容は以下のとおりです。
■特別条件付契約の例
条件 |
内容 |
特定部位・指定疾病不担保 |
特定の部位や疾病については保険の対象外となる。 |
特定障害不担保 |
特定の障害が保険の対象外となる。 |
保険料の割増 |
通常の保険料より高い金額で契約する。 |
保険金・給付金の削減支払 |
一定条件下で支払われる保険金が通常より少なくなる。 |
限定告知型/引受基準緩和型保険
限定告知型や引受基準緩和型保険は、告知事項を少ない数に限定していたり、引受基準を緩和したりしているタイプの医療保険です。このタイプの保険は、終身保険などに多く見られます。
告知事項に該当しない場合は申込みが可能ですが、具体的な告知内容は保険会社によって異なりますので、申込みをする際にはしっかりと確認してください。告知事項に該当しない場合で申込みが可能であっても、加入できない場合があります。なお、通常の保険と同一条件では、通常の保険よりも保険料は高くなっています。
また原則として、持病についても保障されるわけではなく、商品によって支払対象となる条件がありますので、こちらも確認しましょう。
無選択型保険
無選択型保険は、既往歴などの告知が不要なタイプの医療保険です。
ただし、健康状態の告知が不要というだけで、職業や年収、年齢などの制限がある場合があります。なお、無選択型医療保険ではほとんどの場合、保障期間は5年などの更新がある定期保険です。
このほか無選択型の医療保険の多くは、契約後90日など一定期間は入院しても給付金が支払われないといった保障対象外の期間が設けられています。
既往歴を正しく理解し、自分に合った保険を選ぼう
既往歴とは、過去にかかった病気やケガの履歴を指し、保険加入時に告知する義務がある重要な情報です。
既往歴がある場合でも、特別条件付契約や限定告知型保険、無選択型保険など、状況に応じて加入できる保険の選択肢が用意されています。
加入する際には「既往症」や「持病」との違いを正しく理解し、正確に告知することが大切です。
既往歴があって保険選びに迷う場合は、保険会社やファイナンシャルプランナー(FP)に相談し、自分に合った保険商品を選ぶことをおすすめします。
持病があっても入りやすい保険については、以下の記事もご参照ください。
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よくある質問
Q. 既往歴とはどこまで書けばいいですか?
既往歴とは、過去にかかった病気やケガの履歴(病歴)のことですので、「過去にどのような病気にかかったか」「治療や通院の有無」「手術の履歴」などを書きます。なお、既往歴には病気だけでなく、ケガによる治療歴やアレルギー、薬の副作用に関する履歴なども含まれます。
既往歴については、以下の項目をご参照ください。
Q. 既往歴はなぜ聞かれるのですか?
保険加入時には、既往歴を正確に告知することが義務付けられています。これは「告知義務」といい、既往歴は保険会社が被保険者のリスクを評価するための重要な情報となります。
既往歴などの必要な情報の告知を怠った場合、契約が解除されたり、保険金が支払われなかったりするケースがあるので注意が必要です。
既往歴の告知義務については、以下の項目をご参照ください。
既往歴と持病の違いは何ですか?
既往歴は、過去にかかったことがあるが今は完治した病歴のことで、持病は、現在も治療中で完治していない病気のことです。例えば、喘息や糖尿病、高血圧症のように、継続的な治療や管理が必要な病気が、持病に該当します。
既往歴と持病の違いについては、以下の項目をご参照ください。
辻󠄀田 陽子
FPサテライト株式会社所属。税理士事務所、金融機関での経験を経て、「好きなときに好きなことをする」ため房総半島へ移住。移住相談を受けるうちに、それぞれのライフイベントでのお金の不安や悩みがあることを知り、人々がより豊かで自由な人生を送る手助けがしたいと思いFP資格を取得、FPとして活動を始める。現在は地方で移住相談や空き家問題に取り組みながら、FPの目線からやりたいことをやる人々を応援中。
所有資格:1級ファイナンシャル・プランニング技能士、証券外務員一種、日商簿記2級
※この記事はほけんの第一歩編集部が上記監修者のもと、制作したものです。
※記事中で言及している保険に関して、当社では取り扱いのない商品もあります。
※文章表現の都合上、生命保険を「保険」と記載している部分があります。
(登)C25N0001(2025.4.4)
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